スポーツSDGsシンポジウム『水辺の環境と安全について』を開催
2023年8月22日に、『第2回 スポーツSDGsシンポジウム~水辺の環境と安全について~』を開催しました。
今回は、地球温暖化に伴う異常気象によって日本各地にもたらされる豪雨による水害や水辺の環境変化に注目・関連するSDGs活動にテーマを絞り、バルセロナオリンピック競泳女子200メートル平泳ぎ金メダリストの岩崎恭子さん、谷口郁美さん(横浜市スポーツ協会経営企画課担当課長ヨコハマSDGsデザインセンター コーディネーター)、田村祐司さん(東京海洋大学准教授海事システム工学部門博士・医学)が登壇し、水害から身を守るための着衣泳、海をステージに行われるトライアスロンが実践する環境改善活動などについて、議論を行いました。
まず司会を務めた一般社団法人日本スポーツSDGs協会の鈴木朋彦が、フェンシングの折れた剣に着目し、折れた剣の再利用策を検討する『折れ剣再生プロジェクト』、テレビ朝日「しあわせのたね。」番組協力、「着衣泳を広めるプロジェクト」など、同協会の活動を報告しました。
そして「着衣泳を広めるプロジェクト」のプロジェクトリーダーに就任した岩崎さんは、「私が着衣泳を体験したのが約20年前になります。波の出るプールで『服を着てどれくらい泳げるのか?』というテレビの企画で初体験し、トップスイマーだったのにも関わらず…とても泳ぎづらかったという経験をしました。当時は速さばかりを求めていて、水の安全を全く知らなかったんです。近年、多くの水難事故のニュースが報じ続けられている日本において、着衣泳のことを多くの方に知ってほしいと思い、このプロジェクトのリーダーになりました。命を守るためにも泳力をつけることが大切だと伝えていきたいです」
国連が定めるSDGs17項目のうち、11(住み続けられるまちづくりを)、13(気候変動に具体的な対策を)に当てはまる本プロジェクト。今後は、『学校授業での着衣泳の実施』や『全国自治体ごとのプログラム実施』、『日本水泳連盟との普及活動』『小学生向け着衣泳本の発刊(誠文堂新光社より今冬発刊予定)』、『番組制作(岩崎恭子の水辺安全大作戦」~ライフジャケットと着衣泳で生き残れ~・GAORA SPORTS)』などの活動を行っていく予定です。
谷口さんは、横浜の山下公園前で開催されているワールドトライアスロンの海ついて、「2009年に初めてワールドトライアスロンの大会を横浜で開催しました。当時は水中スクリーンを張った状態で大会を行っていましたが、それ以降の大会では浄化実験を繰り返していく中で、貝類が増加するなど、大幅に水質改善をして、スクリーンを撤去して大会を開催しています。現在では、海水浴場の水質安全基準をクリアするところまできています」
とキレイな海作りに繋がった実例について話をしました。加えて、田村さんはライフジャケットの重要性、水難事故の推移や背浮きで助かった実例などについて詳しく解説してくれました。
SDGsの貢献を目指す『トライアスロン大会』と『着衣泳』
今回のシンポジウムでは、地球温暖化を背景として起こる水にまつわる災害や悪影響に対して、『トライアスロン大会』では温暖化を防ぐための活動を実践。そして『着衣泳』では、温暖化によって起こされる水難にどう立ち向かうべきか? という二つの観点で議論が行われました。
トライアスロンのケースでは、スポーツの国際大会を誘致するという事をきっかけに、行政が中心となって地元企業や市民を巻き込んで、地域の課題解決を図るというものでした。また、着衣泳についてはこれまで30年間にわたり、様々な団体がそれぞれのやり方やメソッドで実践してきましたが、普及に拍車がかかっていない現状を踏まえ、岩崎さんの影響力を駆使して各社のハブになるというものでした。
どちらのケースも、スポーツやアスリートの持つ公共性や影響力を使いながら、SDGsへの貢献を目指すものであり、弊会としてもこうした活動を促進させていくために、今後も継続してサポートして参ります。次回の開催も、是非お楽しみにしていてください。